大学生向けのアルバイトとしてメジャーな塾講師ですが、「ブラックアルバイト」としてニュースでたびたび取り上げられることも。
その疑問にお答えするため、全国にも知名度の高い某個別指導塾で3年間アルバイトをした経験を基に、その勤務実態についてお伝えします。
この仕事を「ブラックアルバイト」と判断するか否かは、あなた次第です。
塾講師のアルバイト、時給の目安は?
時給制ではなく、出勤した授業数(1コマ90分・平均1800円)で計算されます。ここが「ブラックアルバイト」と呼ばれる所以でしょう。
というのも、タイムカードを使わないため、授業の前後にいくら残業をしても給与に換算されないからです。実際に、授業準備の時間として「コマ数×15分前出勤」が徹底されており、1日フルで出勤すると、最大で1時間前に出勤する必要があるからです。
授業後は、なかなか帰らない生徒を全員見送ってから、生徒一人一人の授業進度を報告書に記入し、教室長に生徒の様子を口頭で報告しなければなりません。この記入がなかなか手間で、ベテランの講師陣は、授業の合間にこっそり記入をすることで、サービス残業を減らす努力をします。
この他にも「お楽しみ会」や入学試験日当日の朝に正門前へ応援に行くのも、すべてサービス出勤になります。研修以外は給与が発生しないと考えてよいでしょう。
塾講師のアルバイト、シフトの条件は?
採用時に希望を聞かれ、曜日の固定になります。しかし、生徒の都合により急に出勤になったり、逆に授業がなくなったりします。
かなり変動的で、固定して出勤できる月はほとんどありません。
一方で、夏休みや冬休みなどの教室が1日開放される長期講習期間は、講師陣にとって唯一の稼ぎ時です。研修に参加し、コツコツ昇給(50円~100円単位)してきたベテラン講師が1日フルで出勤すると、12000円~15000円稼ぐこともできます。
しかし、労働基準法の関係で近年はフルで入ることができず、最高でも5コマ出勤できるかできないかになってきました。
面接の際のアピールポイントや突破のコツは?
この仕事は学力が採用基準だと考えている人も多いですが、塾では筆記試験はさほど重要視されません。
塾にもよりますが、私が勤めていた塾に通う生徒たちの学力はそもそも平均的で、大学受験生を担当しない限り、難題を指導できるような学力はそもそも必要ないからです。個別指導塾において、生徒や保護者からの好感度が高ければ高いほど授業数を増やす傾向にあり、いかに生徒に好かれるかが重要になります。
たとえ筆記試験が4~5割だったとしても、面接時に明るく笑顔で受け答えができれば、即採用が決まるでしょう。聞かれる質問は子供に関するものばかりなので、「子供が好きだ!」「自分のこれまでの受験経験を子供たちに伝えたい!」という気持ちをぶつければ完璧です。熱血講師が好まれる職場です。
塾講師のアルバイト、髪型や服装は?
教室長によって厳しさはまちまちですが、生徒や保護者に「これってどうなの?」と思われない限り、ある程度の自由はあります。
染髪も過度でなければ問題はありません。男性はスーツやポロシャツなどの「爽やかな好青年」をイメージした服装なら完璧でしょう。女性はいわゆるオフィスカジュアルを選べば、まったく問題ありません。
ある程度お洒落さを取り入れなければ、生徒たちになめられることもありため、気をつけましょう。女子生徒を担当する時は、特に注意が必要です。極端なミニスカートやジーンズなどは、さすがにNGですが。
福利厚生はどう? またアルバイトの特典は?
全くといっていいほどありません。
しいて挙げるなら、使わなくなった教材を無料でもらえることや、保護者からの差し入れが頻繁にあることでしょうか…。この仕事は、そもそも「生徒の触れ合い」以外に目立った喜びはなく、飲食業界に比べれば特典は少ないでしょう。
保護者からの評価が高ければ、「家庭教師として高給で働いてくれないか」というお誘いが、教室長のいないところで行われているのを目にしたことがあります。これも人によっては、特典となるのでしょうか。
塾講師のアルバイト、異性との出会いはある?
都会の教室ではあります。むしろ講師のほとんどが学生アルバイトで構成されているため、同年代の高学歴メンバーとの触れ合いは多いです。
教室長の人柄に左右されますが、「歓迎会」「講習お疲れ様会」「卒業祝賀会」など、教室間やブロック間で頻繁に飲み会がセッティングされます。もちろん自由参加です。時には教室長にご馳走になることも…。同期間も仲が良く、退職した今でも連絡を取り合っている人もいます。
しかし地方の教室ではがらりと変わって、パートの主婦や定年を迎えた男性で構成されていることが多く、そのような教室に配属されると出会いは全くなくなるため、注意が必要です。
塾講師で働くメリットや身につくことは?
教員免許取得を目指している学生にとっては、どのように教えれば生徒が理解してくれるかを勉強できる絶好の場だと思います。実際に教育実習に参加した際に、役に立ったと話している人をよく見かけます。
また、就職活動中の筆記試験対策として、日頃から五教科に親しんでいることから、試験勉強も楽だったように思います。忘れていたあの数学の方程式も、「授業でさんざん生徒に教えたな」と思い出したり。
また、「生徒との触れ合い」が何よりも楽しく、大人を相手にする職業にはない充実感はあります。同年代の講師たちと励ましあいながら、生徒たちの目標達成を目指す時間は、かなり充実していたと思います。特に受験生を担当し、「合格したよ」の言葉をもらえた時のあの感動は、何物にも代えがたいと思います。
塾講師は本当にブラック?これから塾講師のアルバイトをされる方へ
いかがでしたでしょうか?確かに「ブラックアルバイト」と呼ばれるシステムはありますが、その仕事に何を求めているかによって、考えが変わってきたのではないでしょうか?
「お金をたくさん稼ぎたい!」という人には向かない仕事ですが、他の仕事にはない感動や経験をしたい人にはピッタリだと思います。週1で他のアルバイトと兼業して働いてみるのも、楽しいかもしれませんよ。
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